在宅医療に対するケアマネジャーの意識調査報告
東京・神奈川の約6000か所のケアマネジャーに在宅医療に対する意識調査アンケートを実施
いしくるでは、患者さんやそのご家族の在宅医療機関の選択をサポートしているケアマネジャーを対象に、在宅医療機関に関する意識調査アンケートを実施しました。対象は東京都、神奈川県の居宅介護支援事業所 約6000カ所のケアマネジャーで、有効回答数は事業所単位で170件に上りました。ここでは、その結果を踏まえて見えてきた在宅医療の現状をご紹介いたします。
在宅医療の利用ケースが着実に浸透
調査結果によると、ケアマネジャーが担当する利用者のうち、15%の方が在宅医療を利用しているという回答が得られ、厚生労働省が推進する在宅医療へのシフトは着実に浸透していることが伺えます。
一方で、ケアマネの8割が「情報不足に対する不安」
在宅医療に関する情報不足の実態は調査結果にも顕著に表れ、回答したケアマネジャーのうち約80%が「在宅医療機関に関する情報が不足していると感じている」という結果が出ており、在宅医療の需要が拡大する一方で、「情報不足に対する不安」が存在していると言えそうです。中でも、「緊急対応等の在宅医療機関の特徴」「専門外でも対応できる範囲」に関して情報不足を感じている回答者が多く、各在宅医療機関の体制や機能といった詳細な情報が求められていることが伺えます。
紹介できる在宅医療機関数3件以下が70%以上
ケアマネジャーが「紹介できる在宅医療クリニックの数」がどのくらいあるかという質問に対しては、約70%が3件以下、更に約20%が1件以下と回答しており、ケアマネジャーが十分に情報を知っている在宅医療機関が非常に少ないことがわかりました。その結果、ご利用者に紹介している在宅医療機関の数は、全体の6割が1件もしくは2件のみにとどまっています。ご利用者にとっても在宅医療機関の選択肢が限定的になっている可能性があると推定できます。
在宅医療機関選択に必要なツールは詳細な情報源
ケアマネジャーにとって在宅医療機関選択に必要なツールとしてはケアマネジャーの多くが「在宅医療機関に関する詳細な情報源」と回答しています。また、医師の人柄や考え方といった、ご利用者やその家族とのコミュニケーションに関わる部分の情報についても強いニーズが見られました。いしくるでは在宅医療の情報を求める多職種の視点で情報を整理し提供することで、こうした期待に応えていきたいと思っています。
在宅医療機関選択基準明確化・医療機関との連携強化の必要性
在宅医療機関の選択基準について明確化が必要であると回答したケアマネジャーが80%以上におよび、多くのケアマネジャーが不安を感じていることがわかりました。更には、上記のような情報不足や選択基準の不明確さの背景には、地域の医療介護連携不足を指摘する声が60%以上に及んでおり、医療従事者と介護従事者との間での連携強化が求められています。国や地方自治体等が進める地域包括ケアや多職種連携の仕組みなど、更なる在宅医療のインフラ整備が必要になってくると言えるでしょう。