【ミチワクリニック】佐久間一穂先生インタビュー

●大事にしていることは何ですか?
患者様の健康を維持増進するために、診察や薬の処方だけでなく、会話(コミュニケーション)、食事(栄養)、運動、住環境なども考慮に入れた診療を心がけています。また、医師だけの対応では適切な治療環境を整えることが難しいこともあるため、ケアマネジャーや訪問看護師、薬剤師、病院などと連携し、福祉施設や介護保険制度を十分に活用するなどの配慮をして診察を行うようにしています。
●患者様とのエピソードを教えてください
認知症の方には、他者との関わりを拒み、自宅にこもりがちなケースが多々あります。そのため症状が進行しやすく、ご家族様も介護疲労が蓄積するなど悪循環になるため、診療を通して信頼関係を築き、デイサービスやリハビリテーションの利用を促すようにしています。介護施設に通うことで認知症が軽減し活気がもどり、ご家族様のストレスも軽減され喜ばれることを何度も経験しています。また、心療内科や精神科も私の専門分野であるため、うつ病や統合失調症で外出できなくなり病院にも行けずに、患者様もご家族様も行きづまっているケースの訪問診療を行うこともあります。症状が改善して外出が可能になり、自宅での生活が自立する患者様に出会うと、大変うれしい気持ちになります。
●コミュニケーションで大事にしていることは何ですか?
患者様には、自宅外との接触機会が少なく、心を閉ざしがちな状況に陥っている方が多いため、まずは信頼関係を築くことを念頭に置いています。穏やかにゆっくり話しかけ患者様が話やすい雰囲気を作り、思っていることや伝えたいことが話しやすいように心がけています。また、うまく話したいことが表現できていないことも想定し、相手の状況を考慮しながら話の内容を聞き取るようにしています。それぞれの個性を尊重し、同じ目線で苦痛や希望を受け止め、どうすれば患者様の症状の改善や希望がかなえられるかを考えながら接するようにしています。
●目指したいことは何ですか?
訪問診療をしていると、運動機能の低下やコミュニケーション不足、栄養の偏りが、心身の機能低下や健康状態の悪化を引き起こしていることを痛感しています。それらの問題を改善させるため、専門的リハビリができる施設、理学療法士を増やし、誰でも気兼ねなく訪れることができるコミュニティースペースを創設し、合わせて栄養師が食事の指導や栄養の補充ができるシステムづくりを目指したいと考えています。
●みなさまにメッセージをお願いします
当院は、心療内科と内科を専門として、外来だけでなく訪問診療をしている数少ないクリニックの一つです。認知症の患者様をもつご家族様から「本人が病気を自覚せずに病院へ受診してもらえず困っている」「他の病院へ受診しているが、夜間せん妄や幻覚、妄想、精神興奮状態になったりしても十分な対応をしてもらえずに困っている」といったご相談を数多くいただきます。同様のお困りごとがございましたら気軽にご相談下さい。