【貝坂クリニック】髙野学美院長インタビュー

先生の大事にしていること
患者様が病院を退院する際には、積極的に病院へ赴き、主治医の先生と患者様ご本人と顔を合わせています。
患者様の病状だけでなく、周辺の情報も含めて把握できるように心掛けています。
その際に重要なのは、在宅医療で出来ることと出来ないことを、主治医の先生とともに患者様に対して明確に伝えることだと考えています。何かあれば主治医が、自宅での生活のための医療は私が担当という連携が、患者様の安心につながると思っています。
患者さんとのエピソード
56歳の男性が思い出されます。この患者様は大腸がんが全身に転移していました。余命は2カ月でしたがご本人はその事実を知りませんでした。退院時、吐き気及び疼痛のコントロールが難しく、寝たきりでしたが寝返りもできず、水分すら取れない状態でした。ご家族様は、80代のお母様と近くにお兄様家族がいらっしゃいました。
すぐに前記症状のコントロールを始めましたが、ご本人が余命をご存じなかったのが、幸いしたのか、食事も出来るようになり、通院は歩いて行けるまで回復し、主治医を驚かせていたのが印象的でした。そこに至るまでは、毎日の看護師の訪問はもちろん、私も週2回往診し、服薬、生活習慣までしっかり助言及び管理できた結果だと思います。ご家族にも協力してもらい、余命よりも1年以上も長生きされました。ご家族様と二人三脚で患者様に向き合い、在宅で看取った印象深い患者様でした。
コミュニケーションで大事にしていること
余命の告知がされているのか、いないのか、これを把握することが大切です。どちらが良いとか悪いとかではありません。癌の場合は、長く続く闘病中に強く“死”を意識してしまいます。そうなると、本人が自暴自棄になり、介護する家族側も疲労困憊になってしまします。患者様ご本人だけでなく、ご家族のレスパイトケアの検討が重要になります。 本人も家族も、“今を生きる”この実感こそが、とても大切です。患者さんには、「今の命を大事にしましょう」と励まし続け、家族の方には、「無理をしなくても良いですよ」と心に寄り添うことを大切にしています。
これから目指したいこと
免疫療法も進んで、これまでの予後よりも長生きする事が出来る時代とはいえ、がん患者も増えることが予想されます。 その中で、様々ながん患者に対応できるように、引き続き知識やスキルの習得を続けていきます。また、医師側の体力や人間力がますます必要になりますので、向上心を忘れずに在宅医療に取り組んでいきたいと思います。
みなさんへのメッセージ
医師、スタッフともどもきめ細やかな対応を心掛けております。疼痛管理が困難な患者様がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。夫婦ともに、認知症や疾病を抱えていて在宅医療を受けるのは難しいと思われる方々に対しても安心して、療養をできるような、連携や体制を一緒に考えていきたいと思っています。
貝坂クリニック
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